イギリス

イギリスの産業革命①/イギリスで革命が起こった背景を詳しく解説

歴ブロ

ここでは第一次~第四次(場合によっては第三次)まであった産業革命のうち、今回は世界で最も古い時代にイギリスで起こった第一次産業革命をまとめていきます。

ちなみに第一次~第四次産業革命は

  • 第一次産業革命(18世紀後半)
    蒸気機関の開発により軽工業が機械化
  • 第二次産業革命(19世紀半ば~20世紀初頭)
    電気や石油の使用により重工業が発展。製鉄業・造船業・自動車産業など
  • 第三次産業革命(20世紀後半)
    コンピュータ・情報技術の進化による単純作業の自動化
  • 第四次産業革命(21世紀)
    AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)など人間のプログラムを超えて自律的な学習も可能に

上記のような内容となっています。

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産業革命が始まった時代背景

ここでは簡単にイギリスが産業革命を行えるようになった背景を伝えていきますが、大前提として12世紀前後以降から商業社会に突入していたことが挙げられます。

その後、1492年レコンキスタの終結(詳しくは『カトリック両王の治世<フェルナンド2世とイサベル1世>【スペイン史】』)により新たな段階に突入していきました。

産業革命以前の世界情勢
産業革命以前の世界情勢

当時、香辛料の需要が増大していたヨーロッパでしたが、香辛料の産地と商品を取引するには時の大帝国オスマン帝国を間に挟まなければなりません。レコンキスタが終わり、ちょうど戦いが減って経済的な余裕が出来たことなどが重なって航海上の新ルートを開拓しはじめます。大航海時代の始まりです。

その後、世界の交易の中心は地中海貿易から大西洋岸に移行【商業革命】し、重商主義が広がりました。各国は宗教戦争王位継承争いなどの諍いに介入しながら主権国家を確立し、貿易上優位になることを目指していきます。

その結果、最終的に勝者となったのがイギリスでした。

科学革命(17世紀)

14~16世紀にイタリアから始まった『文芸復興』『再生』を意味するルネサンスやドイツから始まった宗教改革によってヨーロッパの中心的な価値観だった神中心の世界観が崩れるようになっていました。

さらに大航海時代を経て、ヨーロッパの国々が築いた知見や他国の知識など多くの情報を獲得。更に主権国家が出来上がるまでの数々の戦争が新たな科学技術開発を後押しして科学革命が起こっています。

望遠鏡、顕微鏡の発明とそれに伴う天文学などの発展。さらにそうした学問の真理を探求するための『方法序説デカルト著)』なども書かれ、科学が大きく発展していたのです。

イギリスの商業面での変化

イギリスは、貿易上の優位を確定させる際に起こったスペイン継承戦争(1701~14年)黒人奴隷供給権や北米大陸の植民地を獲得。イギリスによる大西洋での三角貿易が成立し、富を蓄積していきました。

また、スペイン継承戦争の時期と近い17世紀~18世紀初頭頃、インドとの関係を深めていく中で安くて加工のしやすい綿織物・キャラコが大流行。本国でも植民地でも綿製品が売れまくっています。

イギリスのもともとの主要産業は毛織物ということで、毛織物産業についている本国の人たちからインドとの貿易を担っていた東インド会社はヘイトを集め(キャラコ論争)国は輸入を制限することに。

イギリスは綿織物の国内生産に舵を切っていきました

れきぶろ
れきぶろ

逆に毛織物製品を暑いインドに送り込んでも売れることはあり得ません。毛織物産業の従事者はかなり切羽詰まっていたと思われます。

一方、人気商品の販売が出来なくなった東インド会社。主力商品は中国産のに移っていくことになります。

その中国にイギリスの大量の銀が流出し、インドで作ったアヘンを密輸。アヘン戦争に発展したのはまた別のお話です。

農村部での変化

もう一つ欠かせないのが賃金労働者の確保です。

18世紀にイギリスでは以前の三圃式農業に代わり、輪作を中心とする新たな農法・ノーフォーク農法が導入されて生産性が高まっていました。この大きな変化は農業革命と呼ばれています。

かつて休閑地では冬以外には家畜を飼って排泄物を肥料とさせていましたが、冬用の飼料が足りず家畜は越冬出来ずつぶさざるを得ません。食肉の生産はある程度に留まっていました。

なお、冬にはハムなどに加工し肉類を保存しています(その結果、胡椒が重用→大航海時代に突入)

ところが、農業革命後は生産性の高まりにより、農業を利益獲得の手段と捉える農業経営者が増え始めました。地主から土地を借りて穀物を中心とした市場向けの製品を作り始めます。

また、議会も積極的にこの方法を取り入れようとしました。議会主導で土地を集約する第二次囲い込み(エンクロージャー)が推進されていきます。

これにより小規模な経営しかできていなかった農民たちは農業経営者の下で働く農業労働者になった者以外は都市部に流出し、余剰労働力が生まれていました。彼らは工場で働く賃金労働者の予備軍となり、産業革命の土台が出来上がっていったのです。

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歴ブロ・歴ぴよ
歴ブロ・歴ぴよ
歴史好きが高じて日本史・世界史を社会人になってから勉強し始めました。基本的には、自分たちが理解しやすいようにまとめてあります。 日本史を主に歴ぴよが、世界史は歴ぶろが担当し2人体制で運営しています。史実を調べるだけじゃなく、漫画・ゲーム・小説も楽しんでます。 いつか歴史能力検定を受けたいな。 どうぞよろしくお願いします。
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