西安事件とは?蒋介石が監禁され、国共合作へ進んだ転換点(1936年)
1930年代の中国では日本の圧力が強まる一方で、国内では国民党と共産党の対立(内戦)も続いていました。
1937年には日中戦争が始まりますが、その直前に国共が「抗日優先」へとかじを切るきっかけが生まれます。
内戦を起こすほど不仲だった両勢力が、なぜ日中戦争をともに戦うまでに至ったのか――日中戦争“直前”に起こった西安事件を押さえると、そのきっかけが見えてきます。
ここでは、そんな西安事件について迫っていきます。
西安事件までの流れ
まずは、西安事件までの流れを年表で整理します。
なお、国民党は清朝打倒を掲げた孫文ら革命派の流れをくむ政治勢力です。西安事件の頃の国民党となるまでに紆余曲折ありましたが、本記事では西安事件に関係する流れを優先するため、詳細は割愛します。
清が動揺、孫文ら革命派の運動を背景に各地で蜂起が広がる
孫文が臨時大統領になるが、清の皇帝を退位交渉で主導的役割を果たした袁世凱が台頭
革命後に実権を握った袁世凱が死去
陳独秀らを中心に結成。コミンテルンの支援や影響を受けていた。毛沢東も創立期から参加した一人。
軍閥時代に終止符を打つため、国民党と共産党が協力
国民党が軍閥の打倒と統一を進める
※国民党は南部に拠点があったから「北伐」

上海クーデター(四・一二事件)が発生。国民党と中国共産党の路線の違いが表面化し、当時の国民党の中心人物・蒋介石が共産党勢力の排除に踏み切った。
これを機に内戦が本格化。
北伐が進み、形式的統一の進展
日本が満州で軍事行動を拡大
日本の関東軍が満州事変の結果として満州国を建国。
清朝最後の皇帝・溥儀を執政(のち皇帝)に据えたが、実際の政治や軍事の主導権は日本側が握っていた。この出来事は中国国内で強い反発を生み、「抗日か内戦か」という議論をさらに強めることになる。
満州事変後、日本軍と中国軍が上海で衝突。停戦協定が結ばれ、日本は上海周辺に駐留を続けた。
国民党軍に敗れた中国共産党(紅軍)が根拠地を移動、延安へ
蒋介石が監禁され、抗日優先への転機となる
日中戦争が本格化
こうした流れの中で起きたのが西安事件でした。続いて、関係人物を見ていきましょう。

- 蒋介石
国民党の指導者。西安で監禁され、方針転換を迫られた。 - 張学良
旧奉天軍系の軍人。蒋介石を監禁し、「抗日優先」を求めた中心人物。 - 周恩来
共産党側の代表として交渉に関与し、蒋介石解放へ向けた調整を担った。 - 毛沢東
中国共産党の指導部の中心人物。共産党は抗日を優先する立場にあった。
西安事件とは(1936年)
西安事件(1936年12月)は、中国の指導者・蒋介石が西安で張学良らに監禁された事件です。
目的は蒋介石の排除ではなく、国民党の方針を「内戦(対共産党)優先」から「抗日優先」へ転換させることにありました。事件後、蒋介石は解放され、国民党と共産党が協力へ向かう流れが生まれます。次の1937年の日中戦争を理解するうえで外せない転換点です。
なぜ蒋介石は内戦を優先していたのか
当時の国民党政権にとって、最大の課題は中国国内の統一でした。各地の軍閥勢力や共産党勢力が残る中、蒋介石はまず国内をまとめることを優先し、共産党への包囲・討伐を続けます。
一方で、日本は満州事変(1931年)以後、東北(満州)への支配を強め、華北にも影響力を広げていきます。中国では「日本への対応」と「内戦」のどちらを先にするかが、政治的な争点になっていました。
事件の経過/監禁から交渉へ
1936年12月、蒋介石は共産党討伐を促すため西安を訪れますが、そこで張学良らに身柄を拘束されます。監禁は短期間で、暗殺ではなく「抗日を優先し、内戦を抑えるべきだ」という方針転換を迫る意味合いが強いとされます。
その後、交渉が進み、蒋介石は解放されました。
ここで重要なのは、事件の結末よりも、国民党の対外方針が“抗日へ寄っていく”方向に動いた点です。
西安事件の意味/国共合作へつながった転換点
西安事件は、国民党と共産党の関係を全面対立から協力へ向かう局面へと押し動かしました。
すぐに完全な一体化が起きたわけではありませんが、対日戦を優先するために協力せざるを得ない空気が強まり、やがて第二次国共合作(抗日民族統一戦線)へつながります。
満州事変以後に強まった日本の圧力が国内対立の調整を迫った、と整理すると流れが見えやすいでしょう。
盧溝橋事件から日中戦争へ
1937年7月の盧溝橋事件をきっかけに、日中戦争が本格化します。
西安事件を先に押さえておくと、戦争が始まった時点で「国民党と共産党が一定の協力関係に向かっていた」ことが理解しやすくなります。
日中戦争は単なる国と国の衝突ではなく、中国内部の政治状況とも結びついて進んだ戦争でした。西安事件は、その接続部分に当たる出来事として位置づけられます。





