青天を衝け

渋沢栄一が作った企業の現在の時価総額がすごすぎた!!

歴ブロ

明治から昭和初期にかけての日本経済をけん引した渋沢栄一。【日本の資本主義の父】と呼ばれ、生涯で数百の企業設立に関わり、JR東日本、三菱UFJ銀行、電通、東京ガスなどの企業が現在も残っています。

そこで今回は、孫正義・スティ-ブ・ジョブズ、マークザッカーバーグを全てを足しても足りないとも言われる渋沢栄一がどれだけ今の日本経済に影響を与えたのかを現在まで続く企業の時価総額を集計してしてみました。

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現在まで続く171社の渋沢栄一が関わった会社

渋沢栄一が生涯で500社以上の企業に関わったと言われています。

公益財団法人渋沢栄一記念財団が公開している「渋沢栄一関連会社名・団体名変遷図」を参考に渋沢が関わった企業で

  • 現在まで一部でも事業が継続している企業
  • 社会福祉や慈善事業でなく営利企業である
  • 日本の株式市場に上場している株式会社

という条件で調べ、171社の企業が対象となりました。

日本各地の金融・保険分野

まずは金融分野。渋沢栄一と言えば金融のイメージがありますが、彼は日本銀行を初め第一国立銀行や日本勧業銀行などの多くの銀行設立に関わりました。そのため【日本の銀行の祖】とも言われています。

中でも、三菱UFJ銀行・三井住友銀行・みずほ銀行の日本三大メガバンクが含まれています。地方では、現在の青森銀行の前身である第五十九銀行から南の大分銀行の前身である第二十三国立銀行の設立にも関わっています。

保険分野に目を向けると、東京海上日動火災保険・あいおいニッセイ同和損害保険などの大手損害保険会社が名を連ねます。しかし、かつての日本徴兵保険や万歳生命保険と言った渋沢ゆかりのある生命保険会社は無くなり、現在残っている生命保険会社はT&Dフィナンシャル生命保険を残すのみとなっています。

※時価総額は記事を書いた当初(2021年3月)に調べたものです

金融・保険分野一覧

現在の企業名時価総額渋沢栄一ゆかりの企業等
みずほフィナンシャルグループ3,885,052,337,820第一国立銀行他七社より合併を経て現在に至る
三井住友フィナンシャルグループ4,947,918,259,661三井銀行・住友銀行、他2行の合併により
南都銀行59,809,463,016旧第四十三国立銀行
三菱UFJフィナンシャルグループ7,179,442,620,432旧横浜正金銀行
りそなホールディングス963,964,267,120旧東京貯蓄・熊谷・黒須銀行
北洋銀行92,581,961,528旧北海道拓殖銀行を一部営業譲渡
三井住友トラスト・ホールディングス1,315,396,497,200旧北海道拓殖銀行の流れを汲む
青森銀行49,762,502,586旧第五十九国立銀行
秋田銀行25,439,662,384 
七十七銀行107,624,667,384旧名・第七十七国立銀行
群馬銀行145,150,762,941旧三十九銀行
第四北越フィナンシャル105,898,564290第六十九銀行より
コンコルディアフィナンシャル481,427,193,870旧横浜為替会社
十六銀行75,731,102,526第十六国立銀行
八十二銀行185,530,538,193第十九国立銀行
山梨中央銀行28,258,946,000第十国立銀行
ほくほくフィナンシャル129,255,427,692高岡共立銀行
北國銀行73,605,585,746加州銀行
大分銀行34,095,387,766第二十三国立銀行
九州フィナンシャルG204,348,806,298九州商業銀行
福岡フィナンシャルG380,174,009,085第十八国立銀行
日本銀行26,330,000,000 
あおぞら銀行261,301,324,362韓国銀行
サムティ73,426,050,600東京興信所
東京海上3,884,868,000,000東京海上保険他3社の統廃合により
SOMPO【HD】1,647,507,447,957日本障害、帝国火災保険
MS&ADインシュアランスグループHD1,915,138,038,989 
T&Dホールディングス881,769,000,000日清生命保険
合計29,160,508,425,120 

金融関係の会社の時価総額を合わせると、29兆1600億円にも達します。分かりやすく言うと、千葉県と埼玉県の県内総生産を超える金額となるそうです。これだけでも渋沢栄一が日本経済の父と呼ばれるのもうなずけるとも言えます。

渋沢栄一が関わった交通・通信分野

栄一が生きた明治から昭和初期にかけては、日本各地で交通網が発達した時代でもありました。旧国鉄・JR東日本、西日本、東海、九州の前身企業設立に関係しており、全国の鉄道をほぼ網羅しています。

JR北海道と東京メトロも関わっていますが、上場企業縛りでこの記事を書いているのでカウントしておりません。一方で私鉄でも、東横線や田園都市線を運行する東急電鉄や関西の阪急や京阪の前身企業にも関わっています。

通信分野では、1919年に設立した日米電信の創立委員を栄一が務め、現在のKDDIへと至ります。これらの企業の時価総額を合わせると18兆9500円ともなり、コロナ対策で成立した第三次補正予算と同程度の額になります。

交通・通信分野企業一覧

現在の企業名時価総額渋沢栄一ゆかりの企業等
日本郵船475,474,054,008風帆船会社等
東海汽船4,996,200,000東京湾汽船会社
日本製鋼241,667,341,500北海道炭鉱鉄道
JR東日本2,946,360,990,400日本鉄道他7社
秩父鉄道3,439,500,000上武鉄道
東急890,439,573,300目黒蒲田電鉄
JR東海3,588,520,000,000参宮、富士身延鉄道
阪急阪神ホールディングス926,855,648,325畿内電気鉄道
京阪ホールディングス580,627,266,390同上
JR西日本1,243,482,915,500西成、京都鉄道
JR九州416,849,240,000船越、浜崎鉄道他2社
KDDI7,638,355,208,250日米電信
合計18,957,067,937,673 

明治初期の軽工業の発展に尽力

明治初期の繊維産業を中心とした軽工業の発展は、日本の近代化の象徴ともいえます。1872年に設立した官営の富岡製糸場にも渋沢栄一が関わっており、その後民間へ払い下げられ、現在は片倉工業として存続しています。

他にも、私たちが日々口にするビールにも渋沢栄一が関わっており、アサヒやキリン、サッポロがありこの3社で国内のビールシェアの8割を占めています。また、テイジンや王子製紙、日本製紙などの各分野の大企業がいくつもあり、これらの時価総額の合計が11兆1800億円に上ります。

軽工業一覧

現在の企業名時価総額渋沢栄一ゆかりの企業等
東洋紡123,243,528,128紡績組合・三重紡績
セーレン129,008,757,416東京綿商社
ダイワボウHD162,071,565,720日出紡織
エコナックHD4,059,229,635京都織物会社
片倉工業49,934,870,000富岡製糸場
日東紡績183,104,322,520郡山絹糸紡績
帝国繊維63,161,309,600下野麻紡織会社
帝人372,152,969,160北海道製麻会社
ダイトウボウ3,300,000,000東京モスリン紡織
王子ホールディングス695,865,926,462抄紙会社
日本製紙167,058,279,804中央製紙
ニッピ10,848,195,000依田西村組
リーガルコーポレーション6,721,000,000日本熱皮会社
三菱商事4,238,768,720,403日本、明治製糖2社
三井製糖54,881,950,760八重山製糖
サッポロHD172,638,603,918札幌麦酒会社
アサヒグループHD2,245,010,886,936札幌麦酒会社より分社
キリンHD2,031,822,000,000ジャパン・ブリュワリー、コンパニー・リミテッド
品川リフクラトリーズ26,845,405,002伊勢勝白楝瓦製造所
太平洋セメント322,173,464,452三河、秩父セメント
合計11,185,914,216,044 

 

日本のインフラも支えた渋沢栄一

当然ながら重化学工業分野でも栄一は大きく貢献しています。

なかでもエネルギー関連で東京ガスや大阪ガス、北海道ガスなどの大手都市ガス会社や東京電力、中部電力などの電力会社と言ったインフラ大企業があります。なお栄一が発起人を務めた東京水道会社は、後に市営化され東京市の水道事業を担うようになります。

工業分野では、JFEスチールや三菱重工業、川崎重工業など大手メーカー、さらには5大ゼネコンの一角を占める清水建設や国内大手製薬会社の第一三共などの名があります。これらの重化学工業の時価総額は18兆5000億円に及びます。

重化学工業企業一覧

現在の企業名時価総額渋沢栄一の所縁の企業等
東京製綱23,198,513,092東京製綱会社
日本曹達101,548,693,185同上
JFEホールディングス668,508,978,112日本鋼管、浅野造船所
住友重機械工業357,900,760,672浦賀船渠
名村造船所13,336,213,343函館船渠
三菱倉庫284,992,794,360横浜船渠会社
三菱重工業1,020,865,827,306同上
川崎重工業386,791,431,580平岡工場
日産化学868,550,000,000東京人造肥料会社他
第一三共6,914,987,628,279三共
デンカ374,591,203,200日本酢酸製造、電気化学工業
日本化学工業29,534,385,250 
ダイセル257,198,337,018堺セルロイド
住友化学854,210,227,332日本染料製造
東京ガス1,009147,868,609 
大阪ガス822,526,320,000 
北海道瓦斯28,433,703,018 
東邦ガス695,945,418,150名古屋ガス
西部ガス107,695,194,032門司ガス
東京電力HD626,736,837,090東京電灯、水力電気他2社
中国電力507,172,646,520広島水力電気
中部電力1,014,583,000,000名古屋電力
大成建設849,888,336,020日本土木会社
清水建設626,080,602,722清水屋
若築建設16,232,171,236若松築港会社
東亜建設工業47,666,118,851鶴見埋め立て組合
合計18,508,593,208,977 

商業やサービス業分野

小売り分野では、三越伊勢丹ホールディングスや帝国ホテルなどのホテル業など、その分野で【老舗】と呼ばれるような企業もあります。また、東宝や今日の株式市場の運営を担っている日本取引所グループなども元をたどれば渋沢栄一が関わった企業にたどり着きます。

こう言った商業やサービス業の分野の時価総額合計が7兆7500億円で東京都の予算を上回ります。

商業サービス分野企業一覧

企業名時価総額旧企業名
東急不動産ホールディングス498,842,864,982田園都市(株)
日本取引所グループ1,290,729,759,612東京株式取引所他7社
澁澤倉庫36,020,407,149澁澤倉庫部
東陽倉庫13,213,184,208東海倉庫
帝国ホテル120,166,200,000東京ホテル
京都ホテル6,810,119,600常盤ホテル
三井物産3,449,663,559,272三井物産会社
大日本印刷629,350,511,586秀英會、東京印刷
沖電気工業95,328,838,986沖商会
東洋電機製造11,857,230,000東洋電機
日立造船112,001,366,694東洋護謨
三越伊勢丹HD290,140,463,928三越呉服店
日本氏パルプ商事54,978,876,660中井商店
東京建物328,811,583,528 
東宝809,369,347,220帝国劇場
東京會舘10,291,374,653 
合計7,757,575,688,078 

農林水産や工業分野でも深く関りが…

幼い頃、農家の息子として藍の生産・販売を通して商才を身に着けた渋沢栄一。

その元となった農業分野でも当然かかわっており、現在はその後継企業はありませんが、農場経営から林業・畜産業まで幅広くかかわっていました。水産分野では、魚肉ソーセージで有名な日本水産が名を連ねて言います。

農林水産以外に最も多くかかわったのが鉱業分野で、鉱山経営から出発したENEOSホールディングスやセメントで有名な三菱マテリアルなどの企業が現在も残っています。面白いところでは、福島・茨城県の炭鉱会社が合併した際に成立した常磐興産で、福島県いわき市の大型レジャー施設【スパリゾートハワイアンズ】を運営しています。

これらの企業を合わせると、2兆円の時価総額となりこれまでより少なく感じますが、それでも鳥取県の県内総生産よりも大きいと伝えときましょう。

農林水産、鉱業分野一覧

企業名時価総額旧企業名
古河機械金属53,469,040,896足尾鉱山、大鳥鉱山
三菱マテリアル316,495,310,745荒川鉱山
常盤興産12,244,201,420磐城炭鉱社、茨城鉱山
日本コークス工業31,141,933,247田川採炭
ENEOSホールディングス1,437,798,807,070北越石油、宝田石油
日本水産158,089,720,162大日本水産、共同漁業
合計2,009,239,073,540 

 

他にもマスコミや広告業界にも影響を与えた

この業界での最大の目玉は、電通グループと博報堂DYホールディングスです。また、日本経済新聞社もその中にランクインされています。これらの時価総額は約2兆円でその半分以上は電通が占めていると言います。

話がそれますが、上場していませんが毎日新聞社や共同通信・時事通信などの各マスコミを含まれており、教育分野では一橋大学や法政大学、日本赤十字大学、さらには明治神宮や東京都の誕生にも一役買っているいます。

ここまでくると日常生活において渋沢栄一を避けて通ることができないのが分かります。

その他企業一覧

企業名時価総額旧企業名
ニップン127,616,070,571東亜製粉
科研製薬188,123,194,350国民科学研究所
テレビ東京HD70,106,862,000中外物価新報局
電通グループ1,090,189,800,000日本広告、日本電報通信社
博報堂DY【HD】691,180,832,300内外通信社
合計2,167,216,759,221 

上場企業171社の時価総額はなんと約90兆円!!

ここまで渋沢栄一が関係した現在上場している後継企業の説明をしてきました。この一覧にある以外の非上場企業もたくさんありすべては紹介しきれませんが、上場企業だけの時価総額を合計すると89兆7461億1530万8653円になります。

この数字は、東京都の県内総生産が約100兆円程度と考えると、渋沢栄一は東京都丸ごとの富に匹敵するほどのルーツ企業に関わった事になります。この約90兆円は、2013年頃の国家予算と同じくらいとなります。

※2013年度国家予算約92兆円

ここまで説明すれば、いかに渋沢栄一が現在の日本経済に大きな影響を与えたのかがお判りでしょう。そりゃ、日本の資本主義の父と異名を持ちお札にもなるし大河ドラマにもなるわと納得の人選ではないのでしょうか?

歴史上の人物と言えば、戦国時代などの人物にピックアップされがちですが、渋沢栄一を機に地味だけど超すごい人物を探すのもまた歴史の醍醐味かもしれません。

 

 

ABOUT ME
歴ブロ・歴ぴよ
歴ブロ・歴ぴよ
歴史好きが高じて日本史・世界史を社会人になってから勉強し始めました。基本的には、自分たちが理解しやすいようにまとめてあります。 日本史を主に歴ぴよが、世界史は歴ぶろが担当し2人体制で運営しています。史実を調べるだけじゃなく、漫画・ゲーム・小説も楽しんでます。 いつか歴史能力検定を受けたいな。 どうぞよろしくお願いします。
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