色々な歴史

誰でも一回は大金が手に入る伝統的民間金融【無尽】とは?

歴ブロ

 

民間の金融と聞くと闇金のイメージしか沸きませんが、日本では【無尽】と言われる参加した全会員がいくらかの資金を積み立てていき、条件を満たせばその積み立てたお金を一回総どりできる美味しい仕組みが存在していました。

そんな夢のような怪しい!?金融システムが昔からあり、現在でも農村や漁村で呼び名を変えて存在しています。今回はそんな【無尽】について書いてい行きたいと思います。

 

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伝統的な金融システム【無尽】とは?

 

分かりやすく書くと、人を10人集めそれぞれに1万円づつ集めます。

この総額10万円をかけて10人にクジを引かせ、あった人が10万円を手にできます。しかし、この催しを今後9回行わなければならなく、1回クジに当たったものはクジを引くことができません。

だから、10人全員が10万をいつかはもらえると言うし仕組みになっています。

こういった民間金融を【無尽】と呼ばれてます。

 

クジ運が良ければ、1番初めに10万円が手に入り、最低でも10回目には自分のところに10万円が戻ってくる。この仕組みは、銀行が無かった時代に、民間レベルでの金融システムとして確立をしていました。

早い話、お金の貸し借りには違いがありませんが、利子が発生しないのが大きな特徴で、地域住人の相互扶助の手段として活用されていました。

 

冠婚葬祭時にはまとまったお金が必要なのは、今も昔も変わりません。この無尽は、こうした急な出費に対応した先人たちの知恵でした。

時代が流れるにつれ、無尽は独特の変化をとげ山形県では月1回程度、特定のメンバーで集まって食事や飲み会をし、その時に食事代とは別にお金を出し合って積み立て、メンバーが順番に使ったり、グループの目的のために役立てたりするそうです。

 

無尽の歴史

 

無尽は、貞永式目追加法に鎌倉時代に庶民の相互扶助として登場したと書かれています。江戸時代には、身分問わず大衆的な金融手段として確立し大規模化していきました。

しかし、いつの時代も悪い奴はいるもので、無尽を変形させ賭博にした取退無尽(とりのきむじん)」は、江戸時代によく禁止令が出されていました。

 

明治時代には、営利目的の無尽業者が誕生するようになるが、詐欺まがいの企業も多く1915年に無尽業法が制定されされましたが、商売としての無尽と無尽管理業務のみの規制だったので、民間レベルでの無尽は続けられることになりました。

 

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世界恐慌が起こる頃には、無尽会社に無尽が発展し、銀行匹敵するほどの規模を持つようになり、日本の経済を担う金融機関の一つとなって行きまいした。

戦後になると、無尽会社は強制的に統廃合されて、信用組合よりの大規模で銀行と遜色ないものとなって行きました。1951年には、相互銀行法が成立しほとんどの無尽会社が相互銀行へ転換していきまいした。

現代になった今でも、日本各地の農村や漁村などで無尽組織が存在し、メンバーが毎月お金を出し、積み立てられたお金で宴会や旅行を計画したり、昔ながらのクジによる総どりを行っています。沖縄県では、県民の半数以上が無尽に参加しているとも言われ、九州各地や山梨、会津地方や飛騨地方などで行われているそうです。

 

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賭博でも応用可能だった

 

利子が発生しないと書きましたが、やり方によっては利子を発生させることも可能で、集まる回数が進むにつれて預託金を増額させれば、「最後に当選したほうが得」という状況が作れてしまいます。

また、一度当選すればクジ引き権が発生しない無尽の仕組みを、何度でもOKにしてしまうと、これはもう民間金融ではなく賭博の何物でもなくなってしまいます。

上記のように仕組みを変えてしまうと、法律に引っかかってしまいますが、一線を越えなければ立派なコミュニケーションツールの一つとして活用できます。

 

無尽は日本だけではなかった!?

 

日本での無尽の仕組みは国外にもあり、インドネシアでは【アリサン】と呼ばれる集まりが現在でも行われています。仕組みは無尽と同じ仕組みなのですが、アリサンの場合は女子会と言う意味合いが強く、主婦が平日の昼間にママ友とランチに行くようなものらしいです。

このアリサンが現代風にアレンジが加えられ、【Arisan Mapan】と言われるスマホアプリで電子化されているのです。これはアリサンを管理するサービスで、参加予定者はあらかじめ自分の欲しい物とアリサンの開催スケジュールを設定します。それに合わせて毎回の預け金が自動設定されていく仕組みで、当選者にはほしい商品が現物で届きます。

当選者の決定は、アプリのシステムが行っているために公平性も保っているわけです。

このようにアンラインシステムとして構築すれば、預け金の持ち逃げも発生せず、賭博化も防ぐことができます。また、それに付け込んだ悪徳業者もシャットアウトできます。

日本の古き良きシステム無尽がインドネシアのように電子化したら受けるのではないかと思うのは私だけでしょうか?

 

無尽が支えた経済活動

 

世界的に見て金融とは、近代に入るまで【】とされてきました。

イスラム教では、今でも利子付きでお金を貸す行為は悪徳とみなされています。江戸時代の儒教の教えだった日本でも、商品を扱わない金融業は何も生み出さないで利益だけかすめ取る卑しい行いとされてきました。

しかし、現代社会では金融業が無ければ経済は成り立ちません。

伝統的な無尽は近世日本の経済活動において、欠かすことのできない金融システムでした。

この無尽のおかげで人生初の長期旅行に行くことができ、この旅行者が各地の宿場にカネを落とし、結果として世界に類を見ない旅行街道が日本で構築されたとも言われてます。

 

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歴ブロ・歴ぴよ
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歴史好きが高じて日本史・世界史を社会人になってから勉強し始めました。基本的には、自分たちが理解しやすいようにまとめてあります。 日本史を主に歴ぴよが、世界史は歴ぶろが担当し2人体制で運営しています。史実を調べるだけじゃなく、漫画・ゲーム・小説も楽しんでます。 いつか歴史能力検定を受けたいな。 どうぞよろしくお願いします。
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