イタリア半島の気候と特徴
ローマ帝国の歴史を学ぶ前に、その中心となったイタリア半島の地理的特徴と気候について学んでいきます。
イタリア半島の地理的特徴を見てみよう
イタリア半島は、これまでやってきたオリエント世界やギリシア世界よりもさらに西側に位置します。ヨーロッパにある長靴状の特徴的な形をした半島です。
北にはアルプス山脈が、イタリア半島の中央部をアペニン山脈が縦走しており、平野部が国土の約20%と山がちな地形となっています。西をティレニア海、東をアドリア海、東南部をイオニア海で囲まれており、それぞれの海は地中海へと繋がっています。
ちなみに、イタリアは火山や雪崩、地震、洪水といった災害の起こりやすい国でもあり、歴史上でも度々大規模な災害が起こっています。ポンペイと呼ばれた都市は一夜にして火砕流に飲み込まれた古代都市として有名です。
イタリアの農業事情
2000年前のことなので現在と事情は異なりますが、縦長な国土で山がちということもあって気候、高度、土壌が豊富で現在の農業では様々な作物を栽培しているようです。
ギリシアの地理・気候・特徴に出てきた『テラロッサ』と呼ばれる土は「赤い土」を意味するイタリア語です。イタリア語由来ということで、当然イタリアにもテラロッサは広く見られます。テラロッサはイタリア半島南部に集中しており、この地方でもギリシアと同様、水と土にあまり恵まれなくても育つオリーブやブドウ、柑橘類が作られることに。一方の北部では小麦や稲、酪農が盛んです。
イタリア半島の気候を見てみよう
イタリアは縦長な国土ということもあって、南北で気候が異なります。北部は1年を通じて降水があり雨量も多い温帯に属する気候です。一方の南部は典型的な地中海性気候になります。(現代のものではありますが)イタリアの代表的な都市の気候を表で見てみると、ローマとナポリは典型的な地中海性気候と言えそうですね。
こういった気候の違いもイタリアの南北農業事情が異なる一因です。北部のポー川周辺の平原では水稲が作られるほど雨量が安定して多くなっています。
紀元前、イタリアにいた民族を見てみよう
上の地図を見てみると、紀元前500年頃にはシチリア島やイタリア半島南部にギリシア人が、イタリア半島中南部をイタリア人が、北部をエトルリア人が支配しているのが分かるかと思います。コルシカやサルデーニャ島、シチリア島にはカルタゴ人も見えます。
※カルタゴは元々フェニキア人による交易で栄えた植民都市の名前です。エトルリア人は『イタリア先住民説』と『アナトリア半島にあったリディアと呼ばれる国からきた説』がありますが、ハッキリした証拠は見つかっていません
交易の中心だったカルタゴ人も紀元前8世紀頃から植民活動に精を出したギリシア人も、当時の先進地域出身の人たちで、両者とも植民都市や都市国家を作ってきたという共通点があります。
そもそも都市国家は国の最初の形態のようなもので、世界各地で都市国家や小国家群が自然発生していた(古代インドや古代中国にも存在した)とも言われています。そんな中で、ギリシアやカルタゴのような都市国家と縁の深い人々がやって来たらどうなるでしょう?確実に都市国家は広がっていくことになりますね。
特にギリシアは気候も山がちという部分も似ていますし、イタリア半島でも都市国家が作り上げられる素地が十分あったと考えられるのです。
ギリシアに比較すると大きな統一国家が近くにあった訳でもなく、都市国家間での争いを助長させるような介入があった訳でもありません。イタリア半島に古代ローマが都市国家として生まれ、やがて支配領域を増やして広い統一国家となったのは、そんな地理的事情も見え隠れしているのです。