日本における財閥の歴史
近年の日本では財閥という言葉は聞かれなくなりましたが、ドラマやアニメなどでは財閥の御曹司などの言葉が出てくることから、なんとなく立派な洋館に住んだ、お金持ちを連想する人も多いと思います。
今回は、聞いたことはあるけど、よくわからない【財閥】について書いてみたいと思います。歴史の授業でも、【財閥解体】と言った重要語句が出てくるので、参考になると思います。
そのもそも財閥とは?
財閥を簡単に言うと同族の独占企業団体の事を指します。
同族とは、直系もしくは親族を指し、その一族がある業種や分野の企業で独占して経営している企業体です。
財閥を【コンツェルン】とも呼ぶこともあります。
コンツェルンの意味
財閥とコンツェルンは必ずしもイコールではないようで、親会社がさまざまな業種にまたがる子会社の株式を支配している企業形態がコンツェルンで、特定の一族が企業体の支配権を持っている企業体を財閥と分けられています。
出資している本体があり、それに連携した複数の会社が従属している形態の事を言います。
なんか似ているようで似ていないような気がしますが、両方の違いを書いてみるとわかりやすいと思います。
財閥とコンツェルンの違い
財閥はある業種と分野を独占するのに対して、コンツェルンは別の分野の会社を吸収し子会社化することで発展していく仕組みです。代表的なのはアメリカで、モルガン財閥などが有名です。
戦前の日本ではどちらかといえばコンツェルン型の財閥が多かったようです。
財閥の役割
日本で有名な三大財閥と言えば三井・三菱・住友です。
財閥は総合財閥、金融財閥、産業財閥に分類され、さらにその中で分類されてそれぞれの分野を一族で独占しています。
上記の三井・三菱・住友の総合財閥と言えば、現在でもその名を残し日本の経済を支えているのは周知の通りです。そんな財閥は、戦前までは政治の世界まで影響を与える程の力を持った時代がありました。
日本における財閥の歴史
財閥の始まりは、16世紀末の江戸時代までさかのぼります。
江戸時代、鴻池家が清酒醸造を始めたのがきっかけでした。
その鴻池一族が、両替商を始め、同族集団で財を経て財閥へと発展していきます。
江戸時代の財閥の誕生
鴻池家一族が両替商をはじめ、同族集団で財を得て財閥へと発展していきます。
時を同じくして、住友・三井財閥も誕生し、住友に関してはその先祖を平家一門とし、財閥家系の古さから行けば最古の財閥家と言えます。もう一つの財閥家【三井】も負けてなく、藤原道長の流れを汲んだ藤原信生と言う人物が武士を廃業して江戸時代に商売を始めたことから始まったとされています。
その、藤原信生(三井高俊)の四男が三越の原型となる【越後屋三井呉服店】を開業したのが1673年の事でした。
明治時代の財閥
明治になるといくつもの財閥が誕生します。
その一つが安田財閥です。
安田財閥は、金融・鉄道・鉱山と事業を広げていきました。現在のみずほ銀行は安田銀行の流れを継いでいる銀行となっています。
明治時代は外国との交流が始まったこともあり、貿易で財を得ていく一族も誕生します。それが、川崎八右衛門の東京川崎財閥です。
以上のように、一つの分野に固執することなく、幅広い分野で展開していくのが財閥の特徴でした。
新興財閥が誕生した大正時代
大正時代になると、財閥の形も変わってきます。
この頃の日本は、日中戦争があり戦争景気で頭角表す、新興財閥が出始めてきました。
その代表的なのが、日産と理研などでした。
この時代は日中戦争があり、この戦争をきっかけに頭角を現す財閥がおり、その代表が日産、理研などです。
このことから新興財閥とは、軍と組み業績を伸ばした財閥の事を指します。
産業財閥が躍進した昭和初期
昭和になると財閥は軍と密接な関係を続けながら変化していきました。
この頃になると、創業者たちが技術者であることが多くなってきます。産業関係で関連性のある会社と関係を結び、海外進出を視野に入れ活動していたことが分かります。
産業財閥と呼ばれる財閥が伸びを見せる一方で、これまで財力を持っていた金融財閥の力が低迷していきました。
戦後の財閥解体
戦時中は軍用機などの生産が活発になり財閥は急成長をしますが、戦況の悪化により軍と癒着して財を成してた新興財閥たちは衰退していきました。
日本がポツダム宣言を受諾して敗戦すると、1945年~1952年までにかけてGHQの占領政策の一環として財閥解体が行われました。
アメリカは、日本の軍国主義は財閥が支援したと考えての措置だったとされています。しかし、これまでの日本経済と政治と密接な関係があった財閥を解体するにあたり、日本政府は積極的になれませんでした。
ところが三井財閥から解体案が出ていたことがあり、日本政府側がGHQに提案をします。一部修正は入るものの、GHQの代表であったマッカーサーの了承を得ることができ財閥解体が始まることになります。
実は、日本以外にもドイツが同時期に財閥解体が1947年~1951年に行われていました。
現在の財閥
戦後、財閥解体が行われた日本ですが、現在ではこの財閥はどのようになっているのでしょうか?
結論から言うと日本に財閥と言うのは存在しません。
しかし、三井・住友・三菱などの旧財閥の名が入った企業体は現在も存在しますが、現在は「一族である種の分野などを独占する企業団体が財閥」と言う企業ではないので、これには当たりません。
もう、一族が独占している企業団体ではなくなっているのです。
日本での財閥は、無くなっていますが世界で見ればまだ財閥の定義が当てはまり存続している財閥がアメリカや韓国にあり、韓国なんかは政治に影響力もあるほどの力を持っていることで有名です。