奈良時代にパンデミックになった天然痘とその後の経済政策
中国武漢市で初めて確認され、世界中で感染者や死者を出した新型コロナウイルスは2020年2月から日本でも流行し、1か月半の自粛生活を余儀なくされました。
その後、日本での感染者が落ち着きを見せ6月1日には非常事態宣言が解除の運びなりましたが、まだまだ予断を許しません。イタリアを始め、スペイン・アメリカのニューヨークまでロックダウンし、その驚愕のウイルス対策として世界中が対応策を打ち出しています。
新型コロナウイルスによる経済低迷の各国の対策
2020年6月3日現在、180万人以上の感染者を出したアメリカでは、中低所得者一人当たり約13万円を支給、27万人以上出したイギリスでは3か月間従業員の給料を8割負担するなどの対策を打ち出しました。
日本でも、国民一人あたり10万円の給付を決め、非常事態宣言で自粛した飲食店等に補助金を支給するなどの支援策を出しました。また、深刻化するマスク不足対策の一環として一世帯に布マスクを2枚配布する【アベノマスク】政策を進めました。
2020年6月3日現在、私の世帯には届きましたが、皆様の所には届きましたでしょうか??
奈良時代に流行した感染症(天然痘)の被害
なにも感染症が流行したのは、今回の新型コロナウイルスだけではありません。
日本でも、奈良時代に天然痘と呼ばれる感染症が流行しました。
天然痘は紀元前より【死に至る疫病】として恐れられていました。感染すると、発熱や水泡ができるのが特徴で、天然痘ウイルスを病原菌とした感染症は、735年~738年にかけて西日本から拡大し、当時の人口の25%の100万人~150万人が死亡したと言われています。
医療の発達していない奈良時代では仕方がない事ですが、今回の新型コロナウイルスの125倍の致死率がありました。なんと、100人に25人が死亡すると言う歴史上最悪な感染症ですが、この病で政権中枢を担っていた藤原氏にも及びました。
その藤原氏とは、初代・鎌足の息子・藤原不比等の4人の優秀な息子たちでした。
この藤原四兄弟は、当時の政権を握る重要なポストについており、現代でいう所の総理大臣・副総理・官房長官・福官房長官が新型コロナウイルに感染し、亡くなるくらいの出来事でした。
藤原政権による経済対策【墾田永年私財法】
まさに日本の政治を中枢をも蝕んだ天然痘でしたが、生き残った藤原氏のある経済政策によって国がよみがえります。
それが墾田永年私財法です。
このブログでも、取り上げてきた墾田永年私財法で、天然痘による景気の低迷を一気に回復させるのでした。
天然痘流行前は、土地の開拓者が亡くなれば中央政府の管理下に置かれることになっていましたが、墾田永年私財法によって開拓した土地を私有化できるようになりました。
この法律が施行されてからと言うもの、開拓すればするほど資産が増えるので農民たちがせっせと田畑を耕し、町が栄え人口も増加しました。人口が増えると、町に商人が集まり活気が出て経済が回るようになりました。
農民たちが積極的に耕作する事によって、年貢も増加し中央政府も安定しました。
経済政策で武士が誕生!?
町が潤い栄える事によって、開拓された土地の食糧を狙い強盗が襲うようになりました。
これではいかんと政府は、町を守るための施設を設置して、町の巡回や護衛を行いました。この人材たちが武士の始まりと言われています。戦国時代に、領地拡大のために戦を起こすイメージの強い武士ですが、元々はおらが町を守る正義のヒーローだったのです。
平民や農民・商人たちが武士に敬意をもって接しているのは、その名残があるからでしょうか??
私たち現代人が新型コロナから立ち直るには…
天然痘の流行後の経済政策【墾田永年私財法】によって経済が回復し、町を守る武士のような職業が生まれました。今回の新型コロナ流行後の各国の経済政策や社会変化で新たな社会構造ができるかもしれません。
世界に比べると、日本では比較的新型コロナウイスは押さえられているように感じます。それも奈良時代より常に清潔な環境で生活し、日々の研究の賜物で医療が著しく発展しているからだと思います。
非常事態宣言が解除されたとはいえ、新型コロナウイルスが撲滅したわけではありません。
東京では、宣言解除後に夜の街からの感染者が増えていると聞いています。
ウイルスは勝手に私たちの元へ来るわけではありません。人の移動がウイルスを蔓延させるのです。