ミタンニ王国の宮殿発掘が始まった!【ニュース】
イラク北部のクルド人自治区で、干ばつによって水位の下がった貯水池(モスルダム)の中からミタンニ王国の宮殿とみられる遺跡が見つかったそうです。
正確には2010年に存在を確認していたものの、発掘が可能なほど水位が下がったことがなく発見から10年近く経ってからようやく調査に乗り出せた、というものです。
(CNN) イラク北部のクルド人自治区でこのほど、3400年前のものとみられる宮殿の遺跡が見つかった。現地を襲った干ばつの影響で貯水池の水位が下がり、これまで水の下にあった宮殿が姿を現した。
現場はチグリス川の川岸に位置するモスルダムの貯水池。研究者らは報道向けの発表の中で、今回の発見を機に考古学上の調査が進めば同地に存在したミタンニ王国への理解が深まるとの期待を語った。ミタンニ王国は、古代の中近東にあって最も研究が進んでいない王国の1つ。(後略)
『貯水池から古代の宮殿が出現、干ばつで水位下がる イラク北部』 より
ミタンニ王国に限らず、ここまで古い時代だと遺跡自体が内戦や戦争で崩れていたり貴重な文化財が盗まれていたりで研究が進められないなんて事態も多い中、この調査は当時の様子が少しでも分かる貴重な機会になりそうです。
ちょうど様々な国が興り没落した時代で青銅器から鉄器時代への移行期でもありますし、宗教の源流が流れ始めていた時期でもあります。鉄器に関しては2017年にヒッタイト=鉄器以前にも鉄器を使いはじめた国があったのかも?って発見がなされたばかりですし、少しでも謎な部分が解明できるのが楽しみです。ヒッタイトに近い位置ですし、鉄器時代への移行の謎が解けると良いなぁ・・・
ドイツの考古学と古代中東は縁が深いようでして、新バビロニアの『イシュタール門』や現トルコにある古代のギリシア植民地『ミレトスの門』、アッシリア王国のシャムシ・アダド5世の石棺などが見られるペルガモン博物館があります。
ペルガモン博物館はイスラム文化・西アジア文化を中心とした博物館なので、この時代が気になる方はチェックしてみると良いかと思います。日本にも古代イスラム・西アジア圏の博物館、美術館はあるのですが、ペルガモン博物館は門などの大規模な展示物があるので、ちょっとワクワクします。2019年度は工事中ということなので来年以降にいつか行ってみたい場所です。
ダムの底が見える程、深刻な干ばつというのは心配ですが…