安土桃山時代

京を追放された足利義昭は、鞆の浦に逃れ臨時幕府を作っていた!?

歴ブロ

一般的に室町幕府は、1573年に足利義昭が織田信長によって追放されたことによって滅亡とされています。そして、信長が本能寺の変まで、破竹の勢いでその支配地域を拡大し権力を掌握していきました。

一方で足利義昭は畿内を中心に放浪し、最終的には毛利氏の支配地域である備後国の鞆(とも)で再起をはかることに。この地は、かつて足利尊氏が新田義貞討伐の院宣を受けた地で、足利氏にとっては由緒正しい場所でした。

そこで、今回は足利義昭が追放された後の足取りを紹介していきます。

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亡命暫定政府・鞆幕府の設立

義昭の放浪の旅には、多くの幕臣たちがお供しています。

将軍の共廻り達や大名たちの子弟達も含め100人以上の団体様でした。そして、各地を転々としたのち、毛利氏の支援を取り付けて備後国の鞆の浦で居を構えます。

ここに室町将軍の暫定政府が鞆の浦に爆誕。

京都を追放こそされましたが、将軍職と従三位権大納言の官位・官職は保ったままで、当時は一定の権威はあったようです。まだある将軍の特権をフルに使い、年貢なども定期的に獲得していました。

毛利輝元を副将軍につけ、毛利氏全面バックアップの臨時政府は、信長に対抗する大名からの援助もあり、財政的には安定していたとも言われています。規模の大小あれど幕府としての実態がありました。

こうした足利義昭の亡命中の臨時政府機関を鞆幕府(ともばくふ)と呼んでいます。

信長包囲網を再結成

義昭は以前にも武田信玄を通じて信長包囲網を形成しました。しかし、武田信玄が上洛中の陣中で亡くなると包囲網が瓦解。さらに信長と対立したことによって義昭は京都を追放されます。

その後も義昭は打倒信長のために全国の大名に手紙攻勢を仕掛けます。当時はまだ足利将軍家を支持する武家も多く、この時の(再)信長包囲網には、毛利氏を含め本願寺や上杉、宇喜多氏などが参加しました。

しかし、織田家の勢いは止められず大坂の本願寺が敗れ、北陸は織田家の柴田勝家に、中国地方は羽柴秀吉によって包囲網は徐々に破られていきます。ところが、1582年に本能寺の変が起こり織田信長が討たれると、毛利氏と織田氏との決着が着かないまま、信長包囲網が終結したのでした。

将軍辞職と豊臣政権の御伽衆

本能寺の変後は柴田勝家のお世話になっており、一時期は秀吉と対立した義昭でしたが、秀吉が関白就任後の九州平定では、主に和平の使者として秀吉と連携を取っています。

さすがは将軍権威。話をうまくまとめ上げ、これらの功績から義昭は秀吉より帰京が許され15年ぶりに京都へ帰ることになりました。

そして、大阪へ赴き、秀吉に臣従をします。この時、同時に将軍職を朝廷に返上したことによって、事実上の幕府が消滅しました。

豊臣政権下では、徳川家康や毛利輝元等の大大名より上位の席次を与えられています。

そして、秀吉の御伽衆として良き話し相手となっています。大河ドラマのように、酒をせびりに来ていたかは分かりませんが、きっと自分の人生を教訓を話していたのでしょう。

御伽衆(おとぎしゅう)とは?

ここで、御伽衆と言う単語が出てきたので紹介しましょう。

君主の暇つぶしでおとぎ話でもしてくれるのだろうか?』と思いますが、彼らは政治顧問でもあり、話し相手でもあり時には武芸指南もしてくれました。

その前身は、室町幕府の【御相伴衆(御しょうばん衆)】。

将軍の側近として話し相手だけではなく、一緒に会合やイベントに参加した名誉ある役職でした。そのため、相当な家格が必要で【管領】を務める一族や有力守護大名しか就くことが出来ませんでした。

応仁の乱以降は将軍権威の失墜により御相伴衆の地位も低下しますが、それでも名誉ある職として今川氏真や北条氏康や毛利元就などの有力大名がその職に就いています。

この頃は、各大名家が領国経営していたので大名自らが御相伴衆を用いていました。

基本的には相談役のような役回りが多く、隠居した元重臣が再雇用されたり、剃髪した元有力武将など訳アリ僧侶がその役に付いています。晩年、家康のそばにいた南光坊天海は、御伽衆と言及はないが似たような存在だったと思います。

役職として機能した御相伴衆は、内閣官房参与に近い性質を持つようになり、安土桃山時代には御伽衆へと変化して行くのでした。

詳しい御伽衆についてはこちらで紹介しています。

こちらは、Yahooニュースエキスパートの記事を一部を加えブログ用に編集しました。

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歴ブロ・歴ぴよ
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歴史好きが高じて日本史・世界史を社会人になってから勉強し始めました。基本的には、自分たちが理解しやすいようにまとめてあります。 日本史を主に歴ぴよが、世界史は歴ぶろが担当し2人体制で運営しています。史実を調べるだけじゃなく、漫画・ゲーム・小説も楽しんでます。 いつか歴史能力検定を受けたいな。 どうぞよろしくお願いします。
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