近現代世界史
18世紀以降、世界各地の歴史は、それまで以上に強く結びつくようになりました。
市民革命によって政治のあり方が変わり、産業革命による工業化や交通・通信の発達によって、人や物、情報が国境や地域を越えて行き交うようになります。ヨーロッパやアメリカで進んだ政治・経済の変化は、アジアやアフリカなどにも大きな影響を与えました。
19世紀にはナショナリズムが広がり、新しい国家が形成される一方、工業力を高めた列強は世界各地へ進出します。こうして国や地域どうしの結びつきが強まるなか、列強間の対立も世界規模へ広がり、20世紀には二度の世界大戦が起こりました。
第二次世界大戦後は、アメリカとソ連を中心とする冷戦が続く一方、アジアやアフリカでは多くの植民地が独立します。世界には多数の国家が並び立ち、政治・経済・社会の結びつきはさらに深まっていきました。
ここでは、市民革命や産業革命から世界大戦、冷戦、脱植民地化までをたどりながら、現在につながる近現代世界がどのように形づくられていったのかを見ていきます。
市民革命と大西洋世界の変化(18世紀〜19世紀初頭)
近代的な政治制度につながる動きは、17世紀のイギリス革命から始まりました。名誉革命を経て議会の権限が強まり、18世紀には自由や権利、法にもとづく政治を重視する啓蒙思想が広がります。
こうした思想は大西洋を越えて各地へ伝わり、18世紀後半から19世紀初頭にかけて革命や独立運動が相次ぎました。なかでも1789年に始まったフランス革命は、身分制や絶対王政を大きく揺るがし、自由や平等、国民主権などの考えが広がるきっかけとなります。
こうして大西洋を挟んだ各地で、政治や社会の仕組みが大きく変化していきました。
国王の権力が制限され、議会を中心とする政治の基礎が整う。
自由・権利・法の支配など、新しい政治思想が発展。
イギリス植民地が独立し、人民の権利を掲げる共和国が成立。
身分制や絶対王政が揺らぎ、自由・平等・国民主権の考えが広がる。
奴隷反乱から独立へ進み、ハイチ共和国が成立する。
スペインやポルトガルの植民地支配から独立する国が相次ぐ。
産業革命と世界経済の形成(18世紀後半〜19世紀)
18世紀後半、イギリスでは綿工業を中心に機械化が進み、工場で大量生産を行う産業革命が始まりました。
蒸気機関や鉄道、蒸気船などの発達によって、生産や輸送の仕組みは大きく変わります。工業化はヨーロッパ各地やアメリカへ広がり、都市の発展や工場労働者の増加など、社会のあり方にも大きな変化をもたらしました。
さらに19世紀には、交通や通信の発達によって世界各地の市場が結びつき、工業国が海外から原料を輸入し、工業製品を各地へ輸出する関係も強まります。19世紀後半には第二次産業革命が進み、ドイツやアメリカも工業力を急速に伸ばしました。
綿工業を中心に機械化が進み、工場制生産が発展。
工場や鉱山、交通などで動力として使われるようになる。
人や物資の大量輸送が可能となり、市場の結びつきが強まる。
ヨーロッパ各地やアメリカで工業が発展し、都市人口や工場労働者が増加する。
労働条件の改善を求める運動や、新しい社会思想が発展。
鉄鋼・化学・電気などが発展し、ドイツやアメリカが工業力を伸ばす。
原料・工業製品・資本などが世界規模で移動し、各地域の経済的な結びつきが深まる。
ナショナリズムと国民国家(19世紀)
産業革命によって経済や社会のあり方が大きく変化するなか、政治の面でもフランス革命とナポレオン戦争の影響が続きました。
ナポレオン支配を通じて革命の制度や思想が広がる一方、フランスへの反発から民族意識も強まり、ナショナリズムが広がっていきます。
1815年のウィーン会議では革命前の秩序を立て直そうとしましたが、自由主義やナショナリズムを求める運動は続き、1848年にはヨーロッパ各地で革命が起こりました。
19世紀後半にはイタリアとドイツで統一が実現します。その一方で、オーストリア帝国やオスマン帝国などの多民族国家では、民族をめぐる問題が続きました。
フランス革命の制度や思想が広がる一方、各地で民族意識も強まる。
フランス革命とナポレオン戦争以前の秩序を立て直そうとする国際体制がつくられる。
ギリシア独立など、民族の自立や政治改革を求める運動がヨーロッパ各地で起こる。
自由主義やナショナリズムを掲げる運動がフランス、ドイツ、オーストリアなどへ拡大。
分裂していたイタリアの統一が進み、国民国家が形成される。
プロイセンを中心にドイツ統一が実現し、ヨーロッパの勢力関係が大きく変化。
オーストリア=ハンガリー帝国やオスマン帝国、バルカン地域などで民族問題が重要になる。
帝国主義と世界分割(19世紀後半〜20世紀初頭)
19世紀後半、工業化を進めた列強は、原料や市場、軍事・外交上の拠点などを求めて海外への進出を強めました。国家の威信やナショナリズムもこうした動きを後押しし、帝国主義の時代を迎えます。
イギリスやフランスなどのヨーロッパ諸国はアジアやアフリカで植民地や勢力圏を拡大し、19世紀末にはアフリカの大部分が列強によって分割されました。さらにアメリカや日本も対外進出を強め、列強による競争は世界規模へ広がります。
一方、進出を受けた地域でも、外国支配への抵抗や政治改革、近代化を目指す動きが起こりました。こうした世界各地をめぐる競争は列強間の対立を深め、20世紀初頭の国際的な緊張にもつながっていきます。
工業化を背景に、原料・市場や軍事上の拠点を求める動きが強まる。
アフリカ進出をめぐる列強間のルールが話し合われ、植民地獲得競争が加速。
イギリスやフランス、ドイツなどが植民地を拡大し、アフリカの大部分が列強の支配下に入る。
インドや東南アジア、中国などで植民地支配や勢力圏の拡大が進む。
ヨーロッパ諸国以外も海外へ勢力を広げ、列強間の競争が世界規模になる。
植民地や勢力圏をめぐる競争が、ヨーロッパの国際的な緊張にも影響する。
二つの世界大戦と国際秩序の変化(20世紀前半)
20世紀初頭、列強間の対立や軍備拡張が進むなか、1914年に第一次世界大戦が始まりました。戦争にはヨーロッパ諸国だけでなく、その植民地やアメリカ、日本なども参加し、世界各地を巻き込む大規模な戦争となります。
戦争中にはロシア革命が起こり、戦後にはヨーロッパの帝国が相次いで崩壊しました。一方、アジアやアフリカでは民族運動が広がり、アメリカや日本の国際的な影響力も強まっていきます。
その後、世界恐慌や国際関係の不安定化が進み、1930年代にはヨーロッパだけでなく東アジアでも戦争が拡大しました。1939年に始まった第二次世界大戦は、ヨーロッパ・アジア・太平洋などを戦場とする世界規模の戦争へ発展します。
1945年に戦争が終わると、アメリカとソ連が二大勢力として台頭し、植民地支配にも大きな変化が生じました。こうして、それまでとは異なる戦後の国際秩序が形成されていきます。
列強間の対立から始まり、ヨーロッパを主戦場として多くの国を巻き込む世界規模の戦争へ発展。
帝政が崩壊し、その後ソヴィエト政権が成立。
ドイツ帝国やオーストリア=ハンガリー帝国などが崩壊し、ヨーロッパの国境が大きく変化。
ヴェルサイユ体制や国際連盟などを通じて、第一次世界大戦後の秩序が形成される。
深刻な経済危機を背景に、ドイツなどで急進的な政治勢力が台頭。日本の中国への進出なども進み、各国の政治や国際関係が不安定化する。
ナチス・ドイツのポーランド侵攻をきっかけに開始。ヨーロッパからアジア・太平洋へ戦争が広がり、多くの国や地域を巻き込んだ。
ヨーロッパの勢力関係が変化し、アメリカとソ連を中心とする戦後秩序へ移行。
冷戦と脱植民地化(1945〜1991年)
第二次世界大戦後、アメリカとソ連が二大勢力となり、政治や経済の仕組みをめぐって対立する冷戦が始まりました。両国が直接大規模な戦争を行わない一方、朝鮮半島やベトナムなどでは、それぞれの陣営が関わる戦争や対立が起こります。
同じ時期、ヨーロッパ諸国による植民地支配も大きく変化しました。インドをはじめアジア各地で独立が進み、1950〜60年代にはアフリカでも多くの国が誕生します。中国革命によって中華人民共和国が成立するなど、アジアの政治地図も大きく変わりました。
新たに独立した国々のなかには、アメリカ・ソ連のどちらの陣営にも属さない立場を目指す国も現れます。こうして戦後世界は、米ソ対立だけでなく、多数の独立国家が加わる新しい国際関係へと再編されていきました。
1989年には東ヨーロッパで社会主義政権が相次いで崩れ、1991年にはソ連が解体します。これによって、第二次世界大戦後から続いてきた冷戦は終結しました。
アメリカとソ連を中心に二つの陣営が形成され、政治・軍事・経済をめぐる対立が続く。
インド独立をはじめ、多くの植民地が独立し、新しい国家が相次いで誕生する。
中国革命を経て新政権が成立し、東アジアの国際関係が大きく変化する。
朝鮮戦争やベトナム戦争など、米ソ両陣営が関わる対立が世界各地で起こる。
東欧の社会主義政権が相次いで崩壊し、1991年のソ連解体によって米ソ冷戦の時代が終わる。
現代世界へ(1991年〜)
冷戦が終結した後、貿易や金融、交通、インターネットの発達によって、世界各地の経済や社会の結びつきはさらに強まっていきました。
一方で、中国をはじめとする新興国の成長やヨーロッパ統合の進展、地域紛争や国際テロなどによって、国際関係はより複雑になります。国境を越える人や物、情報の移動が増えるなか、一つの国だけでは対応しにくい問題も増えていきました。
現在の世界も、近現代に積み重なった大きな変化の上に成り立ちながら、今なお変化し続けているのです。