高校生の必履修科目の歴史総合とは?実際に教科書を読んでみました!!
2022年の春に高校入学した生徒たちから始まった歴史総合。その生徒たちが大学受験をするであろう2025年からも大学入試共通試験にも導入されます。
世間では、世界史Aと日本史Aを合わせたような内容と言われています。
学習指導要領では、次のように説明されています。
(1) 近現代の歴史の変化に関わる諸事象について,世界とその中の日本を広く相互的な視野から捉え,現代的な諸課題の形成に関わる近現代の歴史を理解するとともに,諸資料から歴史に関する様々な情報を適切かつ効果的に調べまとめる技能を身に付けるようにする。
学習指導要領
ここから言えることは、日本史と世界史を通して、この世界の仕組みを理解する事。
- どうしてこんな事が起きたのだろうか??
- 当時の人たちはなぜこんな事をしたのだろう??
と言った事を考えながら、いま私たちの社会がどのように出来上がったのかを学んでいく教科のようです。
当ブログでも歴史総合に向けた記事を作成しようと思います。
先日、山川出版から出している歴史総合の教科書を3種類購入し読んでみました。今日は、その内容と歴史総合とは何ぞやなんかを書いて行きますので参考になればと思います。
なお、自分は教えるプロではないので、歴史好きの戯言だと思ってみてくれるとありがたいです。
これまでの学習してきた歴史
中学校では、社会科の中で【地理】【歴史】【公民】と言った分野を学習してきました。しかし、高校の授業科目に社会科ではなく、地理・歴史科、公民科と2つの科目が設定されています。
地理・歴史科の内、歴史の中でも世界史A・B、日本史A・Bと分類されています。
- 世界史A(2単位)近現代を中心とする世界史
- 世界史B(4単位)古代から現代までの世界史
- 日本史A(2単位)近現代を中心とする日本史
- 日本史B(4単位)古代から現代までの日本史
- 高校の必修は世界史で世界史Aか世界史Bのいずれか1科目を必修
- 日本史は、日本史A、日本史B、地理A、地理Bから1科目を必修
となっており、 世界史は全ての高校生が学びますが、日本史は地理との選択履修なので、学ばない高校生もいます。
では、2022年に代わる【歴史総合】科目はどのような内容なのでしょうか?
日本史Aと世界史Aを融合したもので、以前までの世界史は必修科目ではなくなる見通しだそうです。日本史Aと世界史Aは、それぞれ近現代史を中心とした内容です。
なので、歴史総合とは日本と世界の近現代史を学ぶことになります。
歴史総合の導入の経緯
これまでの歴史の授業を思い出してみると、古い順番から学ぶ傾向にあり終盤の近現代史の内容がおろそかになりがちでした。どこかの塾の先生が「問題集は後ろからやれマンモスなんて覚えなくても良い」と言ってました。
2005年の調査で、日本史Bの第一次世界大戦から第二次大戦後までの範囲で生徒に問題を出したところ、90%近くが標準的な正答率を下回ったそうです。
この結果から、高校生の近現代史の学習不足が明るみになりました。
現行では世界史が必修で日本史は選択となっていますが、これ自体おかしな話で日本に住んでいながら日本史を習わなくても良いとは、いかがなものかと思っています。
実際に、理数系のクラスの生徒を中心に日本史の授業を一度も受けないまま高校を卒業する生徒も少なくありません。
私と同じで「これからの若者が自分の国の歴史を学ばないままはいかがなものか?」と言う意見がいたようで、こういったことから日本史を高校の必修にする動きが活発になったようです。
こうした動きから、歴史総合と言う必修科目(必履修)が誕生しました。
近現代の世界史と日本史を学ぶことにより、これまで学習不足が目立っていた近現代分野を中心に学ぶことで、上記の問題の改善が期待されます。
また、現近代以降の歴史を学ぶためには、国と国のつながりを捉えることが必要になります。特に世界大戦を学ぶにはこれらは必須と言っていいでしょう。
現在の国際情勢を学ぶ上でも、過去の諸外国との関係や世界情勢を切り離して考えることはできません。昨今のロシアによるウクライナ侵攻の背景も、近現代の歴史を理解する事でどうしてこのような事が起きたのかがわかります。
こうなると、従来のように日本と世界を分けて学習するのは非効率なので、世界史と日本史を合わせ持つ歴史総合が生まれました。未来を担う若者たちに、時代認識や国際感覚を磨きグローバル社会で活躍する人材を育成する目的もあるようです。
歴史総合の教科書を読んでの感想
歴史総合に向けた記事を書くにあたり、個人的に山川出版社より発行されている、教科書を購入して読んでみました。
世界史Aと日本史Aの合わせた内容なので、学習の初めは18世紀後半を舞台として、日本と世界をまたぎ新しい仕組みの誕生と変貌を追っていきます。
とは言っても、変化前の世界がどのような状態であったかを知らないと困りますので、本題に入る前に、それ以前の学習があります。
その世界の変化として…
- 18世紀後半の近代化
- 20世紀初めの国際秩序の転換と大衆化
- 20世紀半ばのグローバル化
のポイントで日本とそれを取り巻く世界を学んでいきます。
率直な感想としては、小・中学生の社会科の学習がある程度頭に入っている前提で授業が進められると思われます。大げさに言うと、歴史のれの字も知らないでいきなり歴史総合に入るのは少し敷居が高いと思われます。
最低限でも、日本史・世界史の時代の基本的な流れ、地理分野での各国の位置関係、現在の政治の在り方などは頭に入れておいた方が良いでしょう。
- 日本史・世界史…何年は何時代でどんな事が行われていたか?などの基本的な時代の流れを覚える
- 地理分野…この国はどこにあり、この河川や山はどこにあるのか??
- 政治・経済…大統領制や議院内閣制や議会の仕組みなどの基本的な事を抑える
イギリスの産業革命があった頃に日本では何時代だろうくらいは把握しないと、この教科はとても難しい物になる気がします。
一応、本題に入る前に教科書では触れていますが、新しく覚えるのと知っているのでは大きな違いがあると思います。
決まっている学習内容としては、
- 日本と世界の動きを関連づけて、歴史の流れをつかむ
- 年号を詰め込むのではなく、生徒たちが調べたり議論したりする
と言う事学習内容が盛り込まれる事から、従来のように太文字を暗記すると言った勉強方法では通用しなくなるでしょう。実際に、太文字の事柄の前後の文章を理解すると良いと書かれていることが多かったように感じます。
そして、日本や世界の歴史に興味を抱き、自ら学ぶ姿勢が重要になりそうです。