明治時代

なぜ帝国主義が蔓延したのか??

歴ブロ

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明治以降、立て続けに起こった複数の戦争は『帝国主義』と呼ばれる思想・政策が日本含む多くの国で推し進められてきたことと無関係ではありません。

どういった状況が帝国主義に繋がっていったのかを調べていこうと思います。

 

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帝国主義とは??

政治・経済・軍事などの面で、他国の犠牲において自国の利益や領土を拡大しようとする思想や政策。狭義には、資本主義の歴史的最高段階として19世紀後半に起こった独占資本主義に対応する対外膨張政策。

を指しています帝国主義(ていこくしゅぎ)とは – コトバンク

 

帝国主義を最初に分析したのはレーニンの帝国主義論。この著の中でレーニンは

帝国主義とは、独占体と金融資本との支配が形成され、資本輸出が卓越した意義を獲得し、国際トラストによる世界の分割がはじまり、そして最大の資本主義諸国による地球の全領土の分割が完了した、そういう発展段階の資本主義である

とも言っています。

 

そんな思想や政策である『帝国主義』。文章だけでは分かりにくいので諸要因を書いた図を見つけたので貼っておきます。

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出典:国際政治史ー世界戦争の時代から21世紀へーp.37より

 

巨大資本による経済支配

上の図の右上に『巨大資本による経済支配』とあります。この『巨大資本』は大航海時代のヨーロッパ各国の発展、その発展の末の産業革命の中で形作られてきました。

話は変わりますが、日本史でも世界史でも経済力が政界での発言力に大きく影響しているのが常(平安時代・摂関政治の藤原家然り、戦国時代の楽市楽座をした織田信長然り)

産業革命後もこれまでの歴史と同様で、巨大資本を持つ人々の声を政治権力を持つ人々も無碍には出来なくなっていきます。上の図で言うと『経済権力と政治権力の結合』の部分にあたります。

そんな経済権力を持つ人々にとって利益に繋がりそうで国が介入できそうな政策とはどんなものがあるでしょう?

 

  • 安い賃金で人を雇う
  • 商品を売る場を得る
  • 安く原材料を手に入れる

と…いったところでしょうか。

 

最初から外国に目を向けるわけではなく、当初は国内で『安い賃金で人を雇う』ことから始まります。

安い賃金で人を雇うとどうなるか?

富者と貧者が生まれ、格差が広がります。

格差が広がるとどうなるか?

治安が悪化します。

治安が悪化するとどうなるか?

国の土台が揺すられるかもしれません。

 

そうならないために、経済政策・社会政策・治安対策を行います。

経済政策や社会政策を行うことは治安対策にもなると同時に、労働者階級の消費行動を刺激することに繋がるかもしれません。

 

国内市場の狭隘化と国民対立

消費活動はある程度の上限でストップしてしまいます。雇用者側は低賃金で働かせたいわけですから、必ず消費活動には上限が出てきます。これが上の表で言う『国内市場の狭隘(きょうあい)』です。

 

国内市場が先行き不安定になると、雇用主は労働者を解雇したり給料を下げたりします。経済的な困窮の結果…先ほどの指摘通り、治安の悪化で政権転覆なんて事態に陥ることだって考えられます。国内のグダグダを外国勢が黙って見ているとも考えにくく何かしら介入しようと働きかけもするでしょう。

そんな理由から治安対策は不可欠ですし、治安対策をするには軍備を整えることにも繋がります。軍備を整える際にも雇用が生まれ、経済対策にも成り得ます。これが『経済の軍事化』です。軍備が整うと国外にも影響を与えることが可能になります。

 

国内市場の狭隘化』や格差社会による『二つの国民の対立』を解決する術を国外に求め、実際にそれを実行するだけの実力を先に産業革命を起こした国々は『経済の軍事化』により手に入れていました。

政治権力を持つ側の人にとっても経済権力を持つ人にとっても帝国主義は利になる思想・政策であると同時に、『二つの国民』の貧者側の立場でも『他国の旨みを得られるかもしれない』政策は生活を改善する希望になり得たと言えます。

 

一方で海外進出に出遅れるなどした(植民地を)持たざる国もあります。そういった国々は既に海外進出している先進国から植民地を奪うか、まだ手付かずの地域に進出するかの選択を迫られました(資本主義自体から撤退する例もあります)

そうでなければ『国内市場の狭隘化』『二つの国民の対立』の解決が難しい。切羽詰まっていない状況でしたら貿易で解決することも出来るのでしょうが、実際には市場での消費活動に限界があります。

 

商品の供給過剰による恐慌

商品の過剰供給の先に待っているのは恐慌です。

アメリカのように大きな国だと自国内で賄えますニューディール政策が、人口や国土が限られている国ではその解決策は取れません。植民地を持っている国は本国と植民地の間の貿易で解決できます(ブロック経済)が、植民地を持っていない国はその解決策も取れません。

 

解決策がなくじわじわと追い詰められるのは貧者です。貧者が追い詰められた時、どこに不満をぶつけるでしょう?普通なら富者にぶつけると思いますが、統治者サイドは富者ではなく不満の解決策を『少数派(社会主義者や宗教上でのマイノリティなど)』に向かわせて国内をまとめ上げていきます。上の図でいう『国民統合の必要性』です。

『少数派』に不満をぶつけること以外に、敵や解決方法を国外に求めることも『国民統合』をするには有効な手段となりました。

これらの要因が複合的に作用して帝国主義が蔓延。植民地支配や植民地からの抵抗、列強同士の争いなど数々の戦争に繋がっていったのです。

 

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歴ブロ・歴ぴよ
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歴史好きが高じて日本史・世界史を社会人になってから勉強し始めました。基本的には、自分たちが理解しやすいようにまとめてあります。 日本史を主に歴ぴよが、世界史は歴ぶろが担当し2人体制で運営しています。史実を調べるだけじゃなく、漫画・ゲーム・小説も楽しんでます。 いつか歴史能力検定を受けたいな。 どうぞよろしくお願いします。
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