戦後日本をけん引してきた自由民主党の歴史と概要
まずは『自由民主党』の説明から。自由民主党は日本にある政党の一つです。中学三年生で習う内容ですし、大人になると選挙などで関わるので今更かもしれませんが政治の仕組みなんかもおさらいしながら自由民主党の歴史と概要について調べていこうと思います。
結局、戦後の歴史を学ぶ時には一番自民党が関わってきておりますので。
政治の仕組み
まずは先程出てきた『政党』の定義についてです。『政党』とは
ということで、(ある程度の)政治的な主義主張の方向性が一致して組織された団体を指しています。
政党は国会議員が5人以上所属するなどの条件がついてきます。ここで新しく『国会』とか『国会議員』の用語が出てきたので『国会』や『国会議員』がどんなものかを見ていくことにしましょう。
国会・国会議員とは?
日本では国会・内閣・裁判所が互いに抑制しあい、バランスをとることによって政治が行われています。これを三権分立と呼んでおり、その中の立法機関が国会です。
立法機関=法律を決められる機関ということなのですが、その法律を決める前段階の法律案を提出することが可能なのが国会議員です。
参議院キッズページ 国会のしくみ を改変
※追記:行政機関は他にも外国との条約や協定を結んだり破棄したりすることもあります。
国会での議席が多ければ、自分達の主張を通しやすくなる…ということで、大体の方向性が一致する議員さん同士で政党を作っているわけです。
さて、ここでもう一度『政党』の条件を思い出してみて下さい。
国会議員が5人以上所属する
などが条件でしたね。
つまり…政党に属する人は全員が国会議員という訳ではない!ということです。
政党を構成する人たちとは…??
政党の会員みたいな人達は党員と呼ばれ、全国に散らばっています。党員の権利や義務は各政党によって異なるようです。
自由民主党では党の考えに賛成しお金を支払っているメンバーたちの事を言っており、全国に自民党員は2000年の時点では237万人いたそうです。
党員は、年間4000円の党費を支払う一般党員と2000円の家族会員、2万円以上の特別党員に分かれ、職業も店を経営している人や農家、医者など様々です。そのほか、党友と呼ばれる自民党の支援組織【自由国民会議】と党指定政治資金団体【国民政治協会】の会員がおり、それぞれ党友会費年間に1万円支払っています。
いつの時代でも政治活動にはお金がかかるものですね…
自民党の主な支援者は、指定の支援団体があるわけではなく、自営業者や農業従事者に自民党支持者が多く、【 農産物の輸入制限や税制面で優遇されなければとても商売をやっていけない。政権政党を支持しておこう。】いった具合だそうです。
政権政党である事から様々な業界から強力な支援を得ています。
自民党総裁の選び方
政党の党首は、様々な呼び名がありますが、自民党では【総裁】と呼ばれ、任期は総裁選挙から3年となり、連続に二期・6年までとなっていましたが2017年に3期・9年に延長されました。
自民党総裁は自民党所属の国会議員と地方の党員の選挙で選出され、部外者の我々には選挙権がありません。選挙権のある地方党員とは、自民党としての党費を前年までの2年間連続で支払っている人や自由国民会議の会員などがあげられます。
自由国民会議と国民政治協会のメンバーは、党友と呼ばれています。
2020年現在、任期三年の最長3期までとなっている自民党総裁は、上記の自民党党員による選挙により選出されますが、党員の誰でも立候補できるかと言うとそうではありません。
総裁選に立候補するには、自民党所属の国会議員の20人の推薦者を集めなければいけません。こうして、衆参両議院の国会議員票と各地方に割り当てられた党員の地方票の合計で総裁が決められます。
2006年9月の自民党総裁選挙では、自民党衆参国会議員が403名の403票で、全国の自民党員票【地方票】が300票の合計703票が割り当てられました。この投票で、過半数を超える得票数を得れば文句なしの総裁なのですが、4人の候補者にまんべんなく票が流れてしまうと、当然過半数を超えるものが居なくなるので、その時は上位2名による決選投票となります。
記憶に新しいところでは、平成24年9月の総裁選挙で安倍晋三・石破茂・町村信孝・石原信晃・林芳正らが立候補し1回目の投票で決まらず、安倍晋三と石破茂の一騎打ち投票をしたのが最近ではないのでしょうか?
自民党の党三役【幹事長・政調会長・総務会長】
自民党に限らず政党には、党首のほかに党三役と呼ばれる、幹事長・政務調査会長【政調会長】・総務会長と言う役職があります。わが国では自民党総裁=内閣総理大臣と言う事が多く、自民党の総裁が党の仕事をするのが困難なため、総裁に代わり党三役が自民党内の調整などを行います。
党三役の中でも、幹事長は政党ナンバー2で、総裁に代わり党内をまとめ、党の財政から国政選挙の候補者選任まで、絶大な権限を握ることになります。
政務調査会長は、党と官僚の調整役の頂点にたつ役職で、政策の調査研究や立案にあたり、自民党内には農林部会や厚生労働部会などの各省庁に対応する部会があり、各省庁の官僚を呼んで法案や政策を審議します。この部会で了承されない法案は国会に提出されません。
総務会長は、自由民主党総務会と呼ばれる党大会・両議員総会に次ぐ意思決定機関で、常設機関としては党内の最高意思決定機関のトップとしての職務に当たります。
1960年以降総務会の定員は30名前後でしたが、2009年の自民党大敗時に議員を大幅に減らしたため、総務会定員も25名ほどに縮小しました。その後政権は自民党に戻ったのですが、現在も定員は25名と据え置いています。
部会で承認された法案は、調整審議会を経て最後に総務会が了承し、政府が閣議決定して初めて国会に提出される仕組みになっています。これが、よく言われる事前審査制度です。
内閣総理大臣の指名
日本国憲法第67条に、【内閣総理大臣は国会銀の中から国会の議決でこれを指名する】とあります。よって、首相になるにはまずは選挙に立候補して当選して、衆参どちらかの国会議員にならなければいけません。
国会議員の議決と言うのは、国会議員が選挙をし決定ると言う事で、普通は自分の所属している政党の党首に内閣総理大臣になってほしいと考えます。現在の政党を考えると議席数が多い自民党議員になったほうが首相の近道と言えます。
とはいっても、自民党所属議員になったとしても、議員を何期務め、大臣などの経験もつけ自民党内で影響力をつける必要はあります。
そうすることで初めて、自民党の総裁選挙に立候補する事が出来るのです。
そして、晴れて自民党総裁になる事が出来れば、首相を指名する国会で内閣総理大臣に指名されることになります。現在の与党議員は、首相指名選挙で必ず自分たちのボスである自民党総裁に投票するので、自民党総裁=内閣総理大臣となるのです。
このように、自民党の総裁を選ぶことは、新しい首相を選ぶことにもなるのです。
自民党の派閥
自民党内での【派閥】は、表向きは政策集団を装い、集団の名まえを名乗り事務所を設けて独自活動をすることがありますが、自民党では少し勝手が違うようです。
現在、自民党内で存在する派閥は主に8つあります。(2020年5月26日現在)
- 細田派(細田博之)95人
- 額賀派(額賀福志郎)53人
- 岸田派(岸田文雄)45人
- 麻生派(麻生太郎)36人
- 二階派(二階俊博)34人
- 石破派(石破茂)20人
- 石原派(石原伸晃)14人
- 山東派(山東昭子)10人
戦後、二大保守政党であった吉田茂率いる自由党と鳩山一郎の日本民主党が1955年に合流して自民党が誕生しました。現在の派閥の源流は、吉田茂系と鳩山一郎系統と三木武夫の改進党系の流れがあります。
吉田系『自由党系』が後の首相・池田勇人と佐藤栄作の池田派と佐藤派に分かれ、鳩山系『日本民主党系』が岸信介と河野一郎の岸派と河野派で、それに三木派が加わります。
この5派から現在の派閥を当てはめていくと…
- 池田派→岸田派、麻生派、谷垣派
- 佐藤派→額賀派、石破派
- 岸派→細田派
- 河野派→二階派、石原派
- 三木派→山東派
といった具合に分類できます。石破氏は以前、額賀派に所属していたので佐藤派系統の流れを汲むとします。派閥の名称で有名なところでは、岸田派の【宏池会】や田中角栄率いた【木曜クラブ】、福田武夫が作った【清和会】などがあります。
自民党の政治スタンス
自民党の政治スタンスは、主に保守的で経済統制は小さめで政治・文化的統制は大きめという特徴があります。
経済統制が小さめとは?
経済統制が小さめと言うのは、経済発展のために、国はあまり経済に介入しないほうがい良いといったスタンスで「自由主義経済」の方針のもと、経済には国はあまり介入しません。
例をあげれば、税金。
自民党は他の政党よりは国民や企業から積極的に税金を集めようとはしません。裏を返せば【国民に還元するために、あまりお金を集めない】ということです。そのため、自分で稼いだお金が税金で持っていかれるのは少ないですが、その反面で低所得者の手当が少ないので、格差が広がりやすいと言うデメリットがあります。
多くの人がビジネスに積極的になることで国の経済が発展しやすいとメリットがあります。
政治・文化的統制が強め
自民党政権は、緊急事態時の政府の権限を一時的に大きくする【緊急事態条項】を憲法に盛り込もうとしたり、国の運営に関する秘密事項を国民に開示しない【特定秘密保護法】を作ったりと、国民を統制する力は他の政党よりも強いかもしれません。
これは、政府が国をコントロールし安定した政治がしやすくなるのですが、日本国憲法に書かれている【国民の自由】が害されているのではないかと考えられています。
自民党は1955年の結党以降ほぼ日本の政治を引っ張ってきた政党です。
私は自民党民ではありませんが、歴史的観点からものを言うと戦後の日本をここまでの大国にのし上げたのも間違いなく自民党政権があってこその物と言えるでしょう。
そんな自民党ですが、近年では憲法9条の拡大解釈や自衛隊の集団的自衛権の行使など、これまでの平和憲法の反対の考え方を行く政策が目立ちます。
今まさに、日本の政治が大きく変わろうとしているのかもしれませんね。